田母神論文-これは誰かの策略なのか
January 1, 2009
もう言わずと知れた田母神論文を巡っていまだに論議が続いている。「日本は侵略国家であったのか」という論文、どうしてここまでこの同じ話題をずっと引っ張っているか?なにかしら、裏に誰かいて策略でも練っているんではなかろうかと勘ぐりたくもなる。
まずは「侵略」という言葉の持つ意味を考えてみよう。私は「侵略」という意味には、文字通り、「進入して略奪する」ことと思ってきた。本当にそうか?田母神論文問題でのさまざまな人の「侵略」についての使い方が違うようなので、恥ずかしながら、不安になり、約10年ぶりに広辞苑を引いてみた。
なぜ恥ずかしいかって?私は他人との会話の中でしばしば「よほど難しいとかあまり使用しない用語を広辞苑で調べるならともかく、小学校で習うような平易な日本語をわざわざ『広辞苑によれば・・・とある』と書き始める奴なんて、よほど日頃、いろんなことを考えていない証拠だ」なんて偉そうに言ってきた人間だからだ。いま己の傲慢さを反省している。さて、しんりゃく、しんりゃく・・・おっ、あった、あった。新村出さんという方の編纂による広辞苑では、
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しん・りゃく【侵略・侵掠】
他国に進入してその領土や財物を奪い取ること。「-戦争」
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とあった。自分がいままで思ってきた「侵略」の概念と同じだ。広辞苑の編纂委員の皆さんも私と同じ概念を描いていたということでひとまず安心した。
それじゃ本題に移ろう。実は、田母神論文「日本は侵略国家であったのか」でほとんどの日本人が政治家やマスメディアの皆さんが誤解していることをここで指摘しておきたい。英語には、私と広辞苑の編纂委員の皆さんが頭の中に描く「侵略」に該当する単語は、実は存在しない。おそらく日頃、英語を使われている日本人の方には「何を言うか!invasion (invade の名詞)があるじゃないか、それでなければaggression だろう。数年前のイラク戦争のときには、アメリカによるaggressive warとか英字新聞に書いていたじゃないか! 」と言われる方がおられると思う。正確には、invasionは「進入、侵犯」であり、aggression は「武力侵攻、攻撃」という意味であり、侵略に含まれる「領土や財物を奪い取る」という意味は、実は含まれていない。
まだ記憶に新しいが、昨年8月に起こったオセチア紛争を思い起こせば、この紛争で一部のオセチア民兵が民家から「略奪」を行っていることがニュース伝えられたが、そこではlootingという単語が頻繁に使用された。
「侵略」という言葉は「進入する。そしてなおかつ、略奪する」という2つの意味を持った熟語であり、これは漢字世界において使用されてきたものである。ゆえに、「侵略したか否か、日本が侵略国家だったか否か」の論争は東アジアの漢字圏のみでできるものであったのだ。しかし、とんでもないことに、田母神俊雄前航空幕僚長は昨年12月1日、日本の外国人記者クラブで記者会見に臨んでいる。その際に、外国人記者たちに配布された英訳された田母神論文のタイトルは「Tamogami Essay – Was Japan an Aggressor Nation?」であり、そこで田母神氏の答弁は「日本は大陸にinvadeしていない。日本は中国にaggressive warはやっていない」と繰り返されたのである。日本語で言えば「日本は大陸に侵入した憶えはない。日本は中国に武力侵攻した憶えはない」と答えたのである。中国・韓国の記者を除いて、この時、欧米の記者たちはどんな反応をしたのだろう?もっと分かりやすく言えば、現在のドイツ軍の将軍が記者団の前で「実は、かつて旧ナチス・ドイツの軍隊はポーランドとソ連の国境を越え、スターリングラードまで進撃した憶えはない」と堂々と胸を張って語ったのと同じ状況なのである。これじゃ、外国人記者クラブはまったくの大洗海岸だぜ。さらに、それが外国の通信社やプレスを通じて世界に発信されたのだから、「最近の日本の歴史認識とはいうのはよほど変だ。こんな気の触れたような歴史認識を持った幕僚長を辞めさせた日本政府は、まあ当然の対処を行っただけ」と欧米では見ていることだろう。
それ以上に恐ろしいことには、「最近の一般の日本人たちは歴史認識が変だ。南京大虐殺は無かったと言始めたし、旧日本軍は20万人の処女狩りをやって性奴隷をやって戦場に連れていって、たくさんの女とパカパカやりながら、米軍にバンザイ突撃していたんだろ?かつて中国が『日本は歴史を書き換えようとしている』と日本に抗議していたが、やはりそうだったのか。大陸に侵攻したことなど無いとまで言い始めたか。もう日本人の話なんて信憑性をまったく感じなくなった」・・・なんて思うのじゃない?まるで中国の思う壺。
ここまで書いたら、今回の田母神論文についての論議、何かしら策略めいた匂いがしないか?私は考えすぎだろうか?なんか心臓がドキドキし始めた。
平成21年 元旦。
多摩川競艇
TAMAGAWABOAT 
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Entry Filed under: Blogroll. Tags: 田母神論文, 自虐史観, tamogami, 歴史観, 歴史認識, 侵略国家, 侵略戦争.
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