Archive for July 30th, 2007
目から鱗が落ちた話
もう2年以上も前になる・・・。
たまたまNHK教育テレビで「私のこだわり人物伝」という番組を観た。
新しい時代小説の書き手として注目される山本一力が、
敬愛する作家・池波正太郎の魅力を余すところなく語り尽くすシリーズだった。
山本一力が、池波正太郎の「人物造形のカンどころ」と題して、
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」といった池波の代表作に
登場する人物たちに注目して、作品の魅力を語っていた。
池波正太郎の作品に登場する人物がどれも魅力に溢れているのは、
「善と悪を切り離さない人物造形の見事さにある」と、
山本一力は語る。
つまり、どんな極悪人にも「善」の部分があり、
それを何気なく描くことによって、
登場する人物がより生き生きとしてくる。
池波正太郎の時代小説には、
時代小説以上に 「人間とは何か?」という
人間の究極的なテーマについて探求しようとする姿勢がある・・・と。
この番組の最後のところで山本一力は池波正太郎の次の一文を引用した。
近頃の日本は、何事にも「白」でなければ、「黒」である。
その中間の色合いが全く 消えてしまった。
その色合いこそ「融通」と言うものである。・・・池波正太郎。

さらに山本一力は、続けて、その言葉を補足して次のように語った。
「白」か「黒」か?はっきりと分けて考えるのも、
それはそれで意味のあることではあるが、
二者択一で全てを分けてしまうのも、また問題である。
白と黒の間にある灰色の部分。その灰色の部分にこそ、
実は無限大の可能性がある。
YESでもなければNOでもない領域。
そこに「わきまえ」を心得た「おとな」の人間によって、
「融通する」という動詞が使われる。
その「融通」というものこそ、
日本人が昔から大切にしてきた文化なのだ・・・山本一力。
番組を観た後、なにか貴重なお酒でもご馳走になったような気分だった。
TAMAGAWABOAT 
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4 comments July 30, 2007
